グラインドメーターによる練和度評価法は、高粘度インキには適用できます。


しかし、降伏価の小さい低粘度インキには適用できません。


次に、比重の問題について。


比重測定法としては・・・


JISK5701(平版インキおよびとっ版インキの試験方法)の4・4に記載されているピペット法および比重びん法があります。


またJISK5400(塗料一般試験方法)の4.3には、比重カップ法とうきばかり法による比重測定法が記されています。


低粘度の液状インキの比重は、メスシリンダーを使用して測定することもできます。


pHは、水性インキのpHをpH計で測定します(JISZ8802)。


貯蔵安定性の促進試験法は、規格では決められていません。


しかし、一般には密閉容器にいれたインキを、35℃、50℃、70℃などの温度で24~72時間保ってから室温まで放冷。


そして、リサイクルインクの流動性、色、着色力、乾燥性などを元のインキと比較して貯蔵安定性の目安としています。




インコメーターは、金属ロール、トップロール(ニトリルゴム製)、バイブレーションロール(ニトリルゴム製)の3本のロールからなります。


実際の印刷に相当する速度で、実用印刷に近いインキ層(試料1.31ml使用)で、30±1℃に温度を保ちながらタックを測定することができます。


金属ロールの回転は400rpm、800rpm、1、200rpmの3段階に変速することができます。


練和度すなわちインキの練りの程度を調べるのに、グラインドメーターがひろく使われています。


グラインドメーターは、ゲージ盤(図7・6)とスクレーパーとからなり、鋼製のゲージ盤には連続的に深さが変化する25μmから0μmまでの深さのみぞが直線状につくられています。


深い方のみぞの上にインキ試料を置き、スクレーパーでかくと・試料中の粗粒子によって線状の跡ができます。


この跡が生じた目盛りの位置と本数によって練りの程度を判断します。


スクレーパーの運動でできた10mm以上連続した線が、1つのみぞについて3本またはそれ以上現れたところの目盛の位置Aおよび10本・・・


またはそれ以上現れた目盛の位置Bの2つの数値を読みとり、たとえば練和度A4B1のように表示します。


キヤノン トナーなどの印刷インキはこのような試験を経て世の中に出るのです。




ローターの回転速度を何種類か変えて測定することによって粘度比を求め、これによってインキの構造粘性(非ニュートン粘性)の度合を知ることができます。


ニュートン流動に近いグラビァィンキやフレキソインキの現場的粘度測定に、ザーンカップがひろく使われています。


一定容積のカップ内のインキが、カップの底にあけられた一定口径の穴から流出する時間を秒で測定することによって粘度の高低を求めます。


日本で使われているザーンカップの流出口の口径は、2mm、3mm、4mmおよび5mmの4種類で、容積は約45mlです。


新聞インキの流度を測定するのに、JISK5702では、インキを滴下したガラス板を垂直に立て、10分間に流れたインキの長さを測定しています。


リサイクルインクなど印刷インキの粘着性の度合を知るために、薄くのばしたインキを指頭でガラス板または紙の上でたたきながら調べる方法も行われています。


客観的な方法としては、インコメーターを用い、インキ皮膜が2つのロールの間で引きちぎられて分裂するときの抵抗の力を測定し、これをインコメーター値として表します。



スプレッドメーターによって、平版インキおよび凸版インキのスプレッドメーター直径D、傾斜S、切片ICおよび降伏価YVを求めることができます。


このうちスプレッドメーター直径Dは、60秒後の広がり直径そのものをmmで表した数値です。


キヤノン トナーなどを扱うインキ業界および印刷業界ではこの値を一般にフロー(flow)と呼んで、インキの流動性の重要な尺度としています。


次にL形粘度計について説明しましょう。


L形粘度計はラレー粘度計とも呼ばれ、インキの粘度(50~2、000ボアズ)および降伏価(0~70、000ダイン/cm2)の測定に用いられます。


この粘度計は、一定のすきまをもってはめ合されているリングとロッドとの間に試料を詰め、一定の力でロッドを押したときのリングとロッドとの相対速度を測定して粘度と降伏価を求める装置です。


B形粘度計というものもあります。


回転粘度計の1種であるB形粘度計はブルックフィールド粘度計ともいわれ、グラビアインキ、フレキソインキ、新聞インキ、スクリーンインキなど、比較的低粘度の印刷インキの粘度測定に実用されています。


インキ中にローターを入れて一定の速度で回転させ、このときローターにかかる抵抗をスプリングのねじれ角度に移して粘度を求めるのです。



リサイクルインクなどは違いますが、グラビアインキのような液状インキの場合には、インキをよくかきまぜてから、インキ中に一定の深さまで棒を突っ込みます。


そして一定の速度で引き上げた時のインキの糸引き挙動を、ペーストインキの場合と同じように観察・・・


そして感知してインキの流動性を判定します。


・・・しかし、このような官能試験では、試験結果は定性的になります。


また、客観性に欠けるので、インキの流動性を数値で表示するためには、種々の測定器を使用しなければなりません。


印刷インキの粘度や降伏価などの流動性を測定する実用的な機器としては、スプレッドメーター、L形粘度計、B形粘度計、ザーンカップその他が用いられています。


では次に、スプレッドメーターについて。


アメリカのA.Voetがインキの流動性測定用に設計した平行板粘度計で、JISK5701にも採用され、ひろく使われています。


スプレッドメーターは、水平に置いた2枚の平行板の間にはさまれたインキ試料が荷重板の自重(115g)によって同心円状に広がっていく状態を経時的に観察し、測定する装置です。



印刷インキの色差、光沢、乾燥性、セット性、耐ブロッキング性、耐摩擦性、耐光性、耐熱性、その他の耐性について試験を行うには・・・


所定の被印刷体の上に規定の厚さのインキ皮膜をつくって、いわゆる展色試料を作成しなければなりません。


キヤノン トナーや平版インキおよび凸版インキの展色には、RIテスターと一般に呼ばれている展色機がひろく使われています。


新聞インキではNIA式自動展色機がJISK5702で規定され、グラビアインキとフレキソインキの場合は、ハンドプルーファー、ハンドプリンター、小型印刷機などが利用されています。


また、簡便な展色法としては、引きべら(ブレード、ナイフベら)を使って展色するへら引き法、バーコーター(ドローダウンロッド、メアバー)を用いるバーコート法があります。


印刷インキの流動性を試験する方法としては、測定機器を使用せずに、経験と勘によってインキの流動性、引き(length)、印刷適性などを判定する方法と、機器を使用して流動性を測定し、数値としてこれを表す方法とがあります。


平版インキのようなペーストインキの場合には、ガラス板上で少量のインキをパレットナイフで練り混ぜながらナイフを引き上げた時の糸引きと、糸の切れ具合、切れた糸の太さ、切れた糸の上昇速度、ガラス板上でのインキの流れ具合・・・


そして、練り混ぜた時に手に感ずるインキ抵抗などを見て、インキの複雑な流動特性を感知して判定を下します。



リサイクルインクなど塗料関係では、すでに80種以上のJISが制定されていますが、印刷インキではつぎの4つのJISが制定されているにすぎません。


JISK5701 平版インキおよびとっ版インキの試験方法


JISK5702 新聞インキ試験方法


JISK5703 新聞インキ


JISK5704 謄写版インキ


・・・ヨーロッパ各国では、印刷インキの規格がISO(国際標準化機構)の規格に統一される方向にあります。


印刷インキ試験はISO規格の印刷工業部門(TC130)に収録されていて、印刷物および印刷インキの耐性試験その他が、ISO2834~2846に掲載されています。


イギリスではBS4321で印刷インキ試験法が制定され、プロセスインキについては、BS2650、3020、4160、4666などの規格があります。


各ロットからその全体を代表するように所定量のインキを密閉容器中に採取して試験に供します。


酸化重合乾燥型のインキでは、インキ表面をパラフィン紙などで覆って、空気を完全に遮断し、試料を保存することが必要です。


蒸発乾燥型のインキでは、試料採取中および試料保存中に、インキ中の溶剤が蒸発しないよう十分な注意を払わなければなりません。


印刷インキ用ワニスの一般的な試験項目としては、色、酸価、比重、透明性、粘度、乾燥時間、ゲル化時間、光沢などがあります。


そのほかワニスから所定の処方でインキを作り、印刷インキとしての試験を行ってワニスを評価することがひろく行われています。


次にインキ化試験について。


印刷インキ用原材料の試験は、その必要があれば、最終的には試験に供する原材料試料と標準原材料見本とから、同一処方、同一条件で2種のインキを作り、後述の印刷インキ試験法にしたがって両者の比較試験を行い、評価、判定を下すことになります。


新原材料の見本を入手したときは、その長所を生かすような新処方を設計。


インキ化試験を繰り返しながら、改良製品やキヤノン トナーなどの新製品を生み出すよう努力しています。


工業製品の試験法や製品規格は、国内的にも国際的にも統一され、標準化されていることが望ましいです。


印刷インキの規格を作成するという仕事はいろいろと困難を伴うためか、各国とも塗料に比べてかなり遅れています。


印刷インキ用溶剤の試験項目としてはいろいろなものがありますが、必要に応じてこのうちいくつかを選んで試験を行います。


アニリン点とカウリブタノール価(K.B.価)の試験は、炭化水素溶剤の樹脂に対する溶解力を判断する時の目安となります。


平版および凸版インキ用溶剤には高沸点のナローカット(狭い留分)の石油溶剤が使われるので、蒸留試験とアニリン点の測定が行われます。


そして油脂およびワニス。


リサイクルインクなど印刷インキに使われる油脂には、乾性油のアマニ油とシナキリ油があります。


両者とも農林規格によって、色(ガードナー法)、加熱減量、比重、屈折率、酸価、けん化価、よう素価、不けん化物、加熱試験(アマニ油のみ)、ゲル化時間(シナキリ油のみ)などが規定されています。


塗料用ワニスでは、ボイル油および煮アマニ油(JISK5421)その他がJISで規定されています。


しかし、印刷インキ用ワニスにはJISが制定されていないのです。



印刷インキ用原材料の種類はきわめて多く、その中にはJISの試験法が制定されているものも多いです。


しかし、実際に印刷インキを作るにあたっては、必要最少限度の項目についてのみ試験を行い、原材料の適否を判定しています。


顔料については、JISK5101「顔料試験方法」に、次の21項目の試験法が記載されているので、必要に応じて参照してみてください。


色、着色力、隠ぺい力、分散性、流動特性、練和性、耐エッチ液性、耐油性、耐水性、耐溶剤性、耐薬品性、耐光性、耐熱性、比重、かさ、吸油量、ふるい残分、水分、水溶分、強熱残分、pHまた、個々の顔料についてもJISが制定されています。


そして樹脂。


印刷インキに使われる樹脂では、ロジン(JISK5902)とエステルガム(JISK5903)の試験法がJISで制定されています。


キヤノン トナーなどの印刷インキ用樹脂の試験項目としては、軟化点、酸価、色、比重、屈折率、相容性、溶解性などがあります。


そのほか、所定の処方にしたがって作った樹脂ワニスまたは樹脂溶液について粘度測定その他の試験を行ったら、さらにこれらをビヒクルとしたインキを標準処方にしたがって作ります。


そして、印刷インキとしての諸試験を行って樹脂を評価することが行われています。